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第8回 管理栄養士のおいしい御飯

お酒の上手な飲み方について

年末年始は忘年会や新年会、クリスマスにお正月と、お酒を飲む機会が多くなる時期です。
ついつい飲みすぎて二日酔いなどにならぬよう、上手に付き合いたいですね。
今回はアルコールを飲む際に気をつけたいポイントを説明していきたいと思います。

アルコールの吸収と代謝について

参照:公益社団法人 アルコール健康医学協会

お酒を口から飲むと、お酒に含まれるアルコールの内約20%は胃から、残りの80%は小腸から吸収されています。その後血液に入り、全身にいきわたります。
血液が肝臓に入るとアルコールは分解され、アセトアルデヒド、アセテート(酢酸)となり、再び血液にのって全身をめぐり、筋肉や組織で水と二酸化炭素まで分解されて体外に排出されます。

参照:公益社団法人 アルコール健康医学協会

「酔い」について

アルコールが水や二酸化炭素に分解されるまでの間に血流にのって脳まで到達し、神経を麻痺させることで「酔い」の状態が発生します。
一般的にアルコールの適量は「ほろ酔い」になる量(ビール中びん1~2本または日本酒1~2合程度)とされています。これ以上飲むと徐々に脳への影響が広がり、運動神経が麻痺するため千鳥足になったり、同じことをなんども繰り返して言うなどの酩酊状態になります。

アルコールが分解されるまでに
かかる時間

体重約60kgの人が、ビール中びん1本または日本酒1合を30分で飲んだ場合、分解されるまでおよそ3~4時間程度とされています。この倍の量を飲んだ場合は6~7時間です。
深夜遅くまでお酒を飲んでいる場合は、お風呂に入ったり睡眠をとったとしても翌朝アルコールが完全に抜けていないこともあります。 また、アルコールの分解の速度には個人差がありこの時間もひとつの目安でしかありません。
翌日の通勤や仕事などに支障が出ないようにこの代謝にかかる時間のことを頭に入れてお酒を飲みましょう。

おつまみの選び方

お酒を飲んでいる時、肝臓はアルコールの代謝を優先して行うため脂肪分の代謝が遅れます。
よって、揚げ物やピザ、ベーコンやばら肉など脂身の多い肉などを使ったおつまみでは肝臓への負担が増してしまいます。
枝豆や豆腐、刺身やサラダなど低脂肪なおつまみを選びましょう。

水分の摂り方

飲酒の際には水分補給をしましょうというアドバイスを最近良く見かけます。
アルコールと水分は、摂取のタイミングによって異なった作用がありますので注意しましょう。

飲酒前には飲まない

胃の粘膜が水分で洗い流され、アルコールの吸収が早くなります。アルコールの吸収速度をゆっくりにさせるためには固形物のほうが良いでしょう。チーズやヨーグルトなどでも良いですし、おつまみを先に食べてから飲むなどしましょう。

体内にアルコールが吸収された後に飲む

血液中のアルコールや分解されたアセトアルデヒドの濃度が高まることで、気分が不快になったり頭痛をもよおす人もいます。水分をとることで血中濃度が薄まるので症状が改善されやすくなります。

嘔吐や発汗などを起こした場合

水分だけでなく、電解質の異常を起してしまいます。水分とともに電解質を補給し、重症の場合は医療機関に。

適度な飲酒は身体によいとの報告もたくさんありますが、無理な飲酒や過度な飲酒は避けて楽しく年末年始をお過ごしください。
(2014年12月10日)