当院では年間120件程度の脊椎脊髄疾患に対する手術が行われています。
変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、後縦靱帯骨化症、椎間板ヘルニア、椎間板症、脊椎・分離すべり症、脊椎脱臼・骨折などほとんどの脊椎・脊髄疾患に対応しています。歩行障害などをきたす重症例に対しては積極的に低侵襲手術を取り入れ、早期離床、早期社会復帰を図り、良好な成績を挙げております。椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、頚椎症などの繊細さが要求される手術に対しては手術用顕微鏡を用いて、脊髄神経に 影響を与えない方法をとっています。
頚部で脊髄が圧迫され,手足のしびれや運動障害,歩行障害,膀胱直腸障害などが起きてくる病態です。症状が進行する場合には手術の必要が生じます。
頚椎後方の支持組織である筋肉を温存し、障害されている部分のみの脊髄の圧迫を除去する新しい手術法(選択的椎弓形成術、筋肉を温存した椎弓形成術スキップラミノプラスティー、TEMPL法)を行っています。手術用顕微鏡*写真*を用いて術野を拡大し,安全性を高めるとともに体に対する侵襲を少なくするためです。入院期間は10日から14日間程度必要になります。この椎弓形成術は胸椎黄色靭帯骨化症にも応用されています。
頚部の椎間板が後方に突出し、脊髄が圧迫され、手足のしびれや運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害などが起きてくる病態です。安静、内服で軽減することも多いのですが、症状の軽減がない場合には手術の必要が生じます。
頚部の襟のところから侵入し、圧迫している椎間板を切除して神経への圧迫を除圧します。
チタン性のスクリューなどで椎体を固定し、早期離床をめざします。
腰椎の椎間板が後方に突出して神経が圧迫され、下肢のしびれや歩行障害、膀胱直腸障害などが起きてくるのが腰部椎間板ヘルニアです。多くの症例が2週間から3週間で軽快しますが、症状が重篤な症例は手術が必要になります。腰部脊柱管狭窄症は年齢とともに脊柱管が狭くなり、下肢のしびれや筋力低下膀胱直腸障害などが生じます。
腰部脊柱管狭窄症には片側侵入両側除圧術を行っています。顕微鏡を使用して腰椎の大事な関節を損傷しないよう慎重に除圧することで術後疼痛の軽減、早期離床、早期社会復帰をめざします。腰部椎間板ヘルニアにも顕微鏡を使用する低侵襲手術を行っています。
腰椎の椎間板が変性してクッションとしての機能が低下してくると腰痛や神経圧迫症状が出現します。
腰椎後方より神経の圧迫を解除します。傷んだ椎間板を摘出し、ご本人の骨とインストルメンテーション(金属のスクリューやロッド)を使用してしっかりと固定します。入院期間は10日から14日間程度必要になります。